トランジション・タウンとは?

トランジション・タウンとは?

トランジション・タウンとは、ピークオイルと気候変動という危機を受け、市民の創意と工夫、および地域の資源を最大限に活用しながら脱石油型社会へ移行していくための草の根運動です。

パーマカルチャーおよび自然建築の講師をしていたイギリス人のロブ・ホプキンスが、2005年秋、イギリス南部デボン州の小さな町トットネスで立ち上げ、3年足らずの間にイギリス全土はもちろんのこと、欧州各国、北南米、オセアニア、そして日本と世界中に広がっています。

手引書

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トランジション運動の特徴

トランジション運動の特徴をまとめると、次のようになります。

ピークオイルと気候変動という「双子の問題」に同時に対処し得る本質的かつ包括的な解決策の提示をめざす
地域レベルに焦点を当てる
地域住民の創造力、適応力および団結力を引き出す
その地域にすでに存在する資源を最大限活用し、それらを有機的につなげる
頭(Head)・こころ(Heart)・身体(Hands)の「3H」のバランスをとる
よりよい未来を描き、その実現は十分可能であると信じ、楽しみながら取り組む

なぜ今トランジションなのか

トランジションとは「移行」を意味します。何から何への移行かと言えば、「過度に石油などの化石燃料に依存した社会経済システム」から「自然との共生を前提とした持続可能な社会経済システム」への移行です。この移行をすみやかに行う必要性・必然性を高めている要因は、大きく2つあります。

1つは「気候変動」。日本では、「地球温暖化」という表現の方が一般的ですが、いずれにしても化石燃料の大量消費により大気に二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスが蓄積し、それが招く大気の急激な気温上昇が気候システムを不安定化させ、自然環境や人類の生活に破壊的な影響を与えるというものです。これに対処するには、炭素の排出を抑制・減少させる必要があるのは周知の通りです。

そして、もう1つは「ピークオイル」です。これはまだあまり知られていませんが、石油などの化石燃料の生産がそう遠くない将来に頭打ちになることを指します。その時期がいつかについては議論が分かれていますが、有限の資源である以上、いつかなくなることには変わりありません。ここで注意していただきたいのは、ピークオイルとは石油が直ちに枯渇することではありません。問題は、石油の供給がピークに達した時点から、需要とのギャップが拡大し始め、それによって石油のコストが急上昇し、たとえ地中に残っていても手が届かなくなることにあります。つまり、ピークオイルとは「安い石油」が枯渇するということであり、それを前提とした現在の社会経済システムの終焉を意味するのです。

気候変動の影響は地球上のどこで、いつ、どのように起こるかはなかなか予想がつきませんが、ピークオイルの影響は、安い石油を前提とした社会に生きる私たち日本人をはじめ、世界中の多くの人たちの暮らしを確実に直撃します。したがって、今から脱石油型社会の構築に向けて動き始める必要があり、それは私たち一人ひとりがこれまでの生き方・暮らし方を見直し、変えていくことなしに実現はあり得ません。

トランジション・タウンが目ざすものを象徴する言葉に「レジリエンス」という言葉があります。レジリエンスとは、「外界の大きな変化に対し、パニックを起こすことなく、また対症療法的にとりあえずその場をしのぐのでもなく、しなやかに対応する力」を意味します。「地力」あるいは「底力」と言ってもいいかもしれません。私たち一人ひとり、そして私たちが住む地域がレジリエンスを高めることによってのみ、気候変動とピークオイルという「双子の危機」を初めて乗り越えることができるのです。